あおのり世相をぼやく

　ところが、その納沙布岬に行く道すがら目にする看板は、「島は奪われた」という迫力のある字とソ連兵士のイラストである。そして、「北方領土は我が国固有の領土です」とあちらこちらに書いてある。
　北方領土が我が国の領土であるということは、日本人であれば疑うべくもないが、そうだとすれば、日本で最も日の出が早いのは択捉島ではないのか。。。
　ここに、「北方領土返還」という大命題と今の根室の現実との葛藤があるような気がしてならない。日本の一番東ではないが、一番東である、、、ということを言っていかざるを得ないのであろう。
　北海道にはたくさんの市や町や村があるが、根室は都市の大きさと関係なく知名度の高い都市である。ところが、根室出身の友人によると、今では医者もいなくなりそうなところである、、、とのこと。大都市への人口集中の激しいこの国において、名実ともに最果ての地になりかねない。ましてや、北方領土がありがたいことに返ってきたら、日本で最も日の出の早い、、、という枕詞まで奪われることになってしまうのである。
　(不思議なことに、根室の街にはロシア語があふれかえり、ロシア人の船員らしき人物がウロチョロしている。彼らの宿泊や観光で経営の一部が成り立っているというのも、北方領土問題を考えると、どうも素直には納得できないものがある)

　なんてことを考えていると、日本にはそういうところばかりではないのか、、、という気がしてきた。
　「町おこし」に各市区町村で必死になっているが、大成功したという話はあまり聞かない。ましてや、他の大都市から遠く離れているところではナオサラであろう。
　そういう所にこそ、都会に住んでいる我々が忘れている魅力がたくさんあるのだが。。。