NHK海外放送
1989年の01月06日の夕方、このワタクシは、カナダの東の方ででNHKの短波放送を聴いていた。
あの頃、ニューヨークやロンドンのような大都会なら日本の情報は新聞やテレビで時折手に入れることができたが、それ以外のほとんどの海外ではNHKの短波放送くらいしか日本の情報を手に入れる術はなかった。
そういう時代なので、外国に行けば日本のことなどどうでも良かったのだが、時折祖国の情報を入手したくなるというのは洋の東西を問わず、人情というものであろう。
その日、NHKの短波放送は、昭和天皇崩御の第一報を伝えた。
「ホンマかいな」と思ったこのワタクシは、日本の家族や知人に電話してみたのだが、日本では土曜日の早朝だったこともあり、みんな寝ていた。。。
あれから約20年が経ったが、確かに今では、海外のある程度の規模のホテルであれば、(内容の良し悪しは別として)NHKの海外放送を見ることはできる。このワタクシにとって、「NHK海外安全情報」は最も気にしている番組の一つであるくらいである。
海外に長くいたり、海外に行くことが多いと、日本からの情報の発信量の少なさには驚かざるをえない。
もちろん、世界には国が幾つもあり、まったく情報を発信していないのではないかと思うような国も多い。
しかし、曲りなりにも(経済だけだが)世界の超大国である日本にしては、情報発信はほとんどないような気がする。
NHKが見れるような海外のホテルでは、アメリカは当然として、イギリスやフランスの海外放送も見ることができる。
しかし、それらの国の放送は、いわゆる「ニュース」の時間が極めて多い。
その結果、それらの国とある事件との係わり合いがある程度鮮明に伝えられている。
同じ時間帯に、NHKの海外放送では「ためしてガッテン」が流れていたりする。日本人にとっては、選択肢のない中では面白い番組なのだが、果たしてこの番組で海外に情報発信をしていることになるのだろうか。
おまけに、ニュースにいたっても、総合テレビと同時放送のせいなのか、全国ニュースのあとは関東のローカルニュースになってしまう。シンガポールで、関東地方の交通情報を見せられたときにはさすがにずっこけた。
NHKのアナウンサーや論説委員のレベルが国際社会においてどの程度のものなのかはよくは判らないが、少なくとも、「反日暴動」が起こったときには「日本の意見」を、「イラク戦争」に対しても「日本政府の立場」を、キチンと世界に伝えるべきである。
日本国内に流しているような、「上海で領事館が被害に遭いました」や「イラクで自爆テロがありました」というような「事実」だけを流していても情報発信とは思えない。「事実」を「どう見ているか」ということを伝えない限り、NHKじゃなくてもCNNやBBCの映像だけで十分である。
しかし、現実的には日本のメディアというものは、そういう機能を持ち合わせていない。いや、そういう機能を持たないようにしてきた、という方が正しいかもしれない。
そして、国民からは受信料を取り、その金を使って、受信料を払わない人にクダラナイ番組を提供し続けるのだろう。。。
(引用)
政府、ニュース海外配信を強化…米CATVと契約へ
(読売新聞 - 12月29日 11:01)
政府は2007年度から、外国人向けにニュースや情報番組を24時間放送している「NHKワールドTV」の海外配信を強化する。
07年度予算に約6000万円を計上して、米国などの地元ケーブルテレビ(CATV)局と契約し、情報発信力を高めるのが狙いだ。
ワールドTVは、日本国内で放送しているニュースや情報番組を日本語と英語で、日本と同時に放送している。現在は約180か国、7200万世帯で受信可能だ。しかし、受信には3メートル以上の大きなパラボラアンテナが必要で個人家庭に設置するには経費負担が大きい。視聴者の大幅増には、地元CATVのチャンネルを借り上げ、放送を委託することが不可欠だ。
(引用終)