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 最近は一時期ほどではないが、500円玉の使えない自動販売機が多い。投入口に放り込んでもコロンと戻ってくる。

 先日、都内のある駅の券売機に500円玉を入れたところ、案の定戻ってきた。よく見ると券売機の上に、500円玉の上に×印が付いたシールが貼ってあった。
 隣の券売機にも同じシールが貼ってある。さらに数台の券売機にも貼ってあった。
 10台くらいある券売機のうちの2台にはそのシールが貼ってなかったので、あらためて500円玉を入れてみた。また戻ってくる。
 その日はあいにく1万円札一枚と、500円玉一個と、10円玉二枚しか持っていなかったので、しかたなく窓口に向かった。1万円札の使える券売機もあったが、一万円というのは一万円札のままでは大金であり、なかなか使う気にならないが、崩れた瞬間にすぐ無くなってしまうものであるので、敢えて500円玉にこだわった。
 窓口には「乗車券は券売機でお求めください」という紙が貼ってあり、駅員がいない。おかしな話である。窓口に来る人は、券売機に問題があるから窓口に来るものである。
 人の気配がしないので、今度は改札口に向かった。最近の改札口は、「通せん坊」があって、駅員との会話もままならない。
 「通せん坊」越しに駅員に事態を説明すると、100円玉五枚に両替してくれた。しかし、駅員は、「右側の二台は使えるはずです」と、いかにもこのワタクシが右側二台を確認しなかったような言い草である。仮に右側二台が使えたとしても、何も言わずに変えるというのが、最近はやりの「カスタマー・サーヴィス」というものである。
 100円玉五枚を握ったこのワタクシは、券売機に戻り、目的地までの切符を購入した。
 自動改札を通ろうとすると、「お客さんっ」と、後からよび掛ける声がする。振り向くと先ほどの駅員である。
 「この500円玉使えますよ」
 さらに、
 「ちょっと見てください」と、券売機のところにこのワタクシを連れ戻した。
 確かに、先ほどこのワタクシが500円玉を入れたときには使えなかったにもかかわらず、駅員がこのワタクシと取りかえた同じ500円玉を券売機に入れると、ちゃんと機能しているのである。
 「今度からこちらを使ってください」
 駅員は勝ち誇ったように言っている。
 さすがにこのワタクシの巨大な堪忍袋の緒が切れた。
 「おっさん、ちょっと待たんかい。こっちは、その券売機もちゃんと試しとるわいっ(、われっ)。それともなにかい、おっさんがわざわざ確認しとんのは、こっちが嘘でもついとんと思とるんかいっ。それとも偽硬貨の確認でもしたんかいっ」
 「いえいえ、そういう訳では。。。」
 駅員たじろぐ。
 「そういう訳では、、、なんでんねん。そういう訳やっちゅうことやろ」
 「そう取られては、しょうがないです」
 駅員、蚊の鳴くような声で言い返す。
 「そう取られたも、こう取られたも、この状況からして、どない取りまんねん」
 このワタクシ、一気呵成に責めまくる。
 事態を察知した駅長が飛び出してきた。
 「どうされましたか」
 駅長が極めて丁重に聞いてきた。
 「500円玉が使えまへんのや。ほんで、、、」
 このワタクシの言葉を遮って、
 「それなら、こちらで両替を、、、」
 と言う。
 「両替は終わっとる」


 (中略。この後事態を把握させるのに約3分)


 「そういうことでしたか。大変失礼いたしました」
 と、駅長。
 「どう考えても、こっちは犯人扱いでっせ。両替した瞬間にその500円玉はもうこっちのもんではないんでっせ。100円硬貨5枚に、さらにその500円玉を返してくれると言うなら、いくらでも券売機での使用実験に付き合いまっけど、今はそっちのもんになった500円玉を使えるか使えないかは、そっちで勝手に確認してくなはれ」
 このワタクシは言い切った。

 まったく、鉄道職員というのは、企業の一員であるということを忘れている。要するに、「乗りたくないヤツは乗らなくて結構」的な対応である。
 タクシーの運転手も二言目には、「運転手は客を選べない」と開き直るが、世の中の会社員全てが客を選べないのである。ましてや、サラリーマンは、客が困ったら手助けをし、間違ったときは何度でも頭を下げるのである。
 駅員やタクシーの運転手のあのような態度は、一般企業なら絶対に通用しない。
 もちろん、大多数の方々は、真面目に接客していることは知っている。一人が不愉快な態度を取っただけで、全員が不愉快な人間だと思われる可能性があることを再度認識してほしい。





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