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歴史が消える

 バブルが崩壊して数年経った最近、東京都心部の人口が増えてきたようである。ニュースで言っているだけでなく、我が家の回りでも古い家がどんどん壊されマンションが林立していくのを見ていると、「都心回帰」を現実のものとして感じざるをえない。(別に悪いことではないが)

 ついに、通りを挟んで我が家の向い側にある家が数軒つぶされた。巨大なマンションが建つらしい。
 (拙宅窓から撮った写真参照:①破壊中②破壊後)
 破壊前には気付かなかったのだが、写真にあるように、破壊後巨大な樹木が出現した。少なくみても、樹齢250年はあろうかという木である。
 江戸時代の中期からこの地に立っていたことを考えると、この木が切り倒されてしまうのは非常にもったいない気がする。
 あの大きさからすると、相当遠くからでも見えたはずである。
 もしかすると、江戸時代の庶民のデートの待ち合わせ場所だったかもしれないし、夏祭りはこの木を囲んでやっていたかもしれない。また、このすぐ近く(現在東京ドームのあるところ)に住んでいた将軍になる前の徳川慶喜が眺めていたかもしれない。もしくは、ある藩邸の庭にどっしりと根を張っていたのかもしれない。
 いずれにしても、相当由緒正しいものであると思う。

 なんとか、残したいものである。
 というように、歴史的な様々なものが、日本中、世界中の街々から毎日のように消えていっているのだろう。


(後記)
 その後思いをめぐらせた。。。
 ひょっとすると、あの木を植えたときにも、「由緒正しいこの地に木なんか植えやがって」と思っていた人がいるかもしれない。
 一つの事象の「歴史」というのは始まった時点があるはずで、このワタクシが上記したことは、あくまでも木が立ってからの歴史である。その時点で木が立つ前の歴史は抹殺されている。
 人類は、歴史の書換えをしながら進歩するのだろうか。





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