カープ黒田のFA問題
広島の黒田がFAして移籍するということがほぼ確実視される中、黒田の「今期」最後の登板のあたりから広島ファンの発言がネット上を賑わしている。
特に、移籍先と目されている阪神に対する風当たりが強い。
金本、シーツ、町田に続き、黒田もか、、、ということで、「阪神の横暴」とか「阪神の読売化」なんて言葉も使われている。
しかしだ、、、金本はFAだが、シーツは自由契約で広島が放り出し、町田は金銭トレードで移籍しているだけに、現実的には、「阪神の横暴」は、仮に黒田が移籍しても二人目である。
そもそもFA制度が導入されて以来、広島がFA権の行使は認めてもFA残留は認めてこなかったことが問題である。
もちろん、FA残留した選手の年俸や契約金が高騰してしまうリスクがあるためだが、「FA移籍した選手がほとんど活躍していないから」とも広島はプロ野球実行委員会で言っている。
もう覚えている人もあまりいない(からネット上でも大騒ぎになってしまうの)だろうが、金本はFA残留を希望したにも関わらずに球団に放り出されたわけである。それを拾ってあげた阪神がなぜ文句を言われないといけないのか。
広島の選手が初めからFA権を取得したら移籍という精神でプレーせざるを得ない状況を作ったのは広島そのものである。
おまけに、ネットで騒いでいる人々のどれだけが、球場に何回も足を運んでいるというのだ。
黒田が投げる日だけ球場に行っても球団は儲からないのは自明の理である。
日本ハムの小笠原もFA移籍する可能性が高いが、彼はファンから相当後ろ髪を引かれる思いで移籍するに違いない。黒田がそのような気持ちになるかどうかは疑問である。
ロッテや日本ハムが日本一になったということを引き合いに出すまでもないが、広島が上位に入ってこれなくなったのはFAだけの問題ではなかろう。FA制度導入後、取られる側のチームですら勝てる時代である。なぜFA導入後広島だけ(除:楽天)がリーグ優勝できないのか。
広島カープや広島ファンに何の他意もないが、大騒ぎするなら表面(広島→阪神という構図)だけみても仕方がないのである。
そもそもの問題は、日本球界にメジャーリーグでも「失敗だった」と言われている「FA制度」を未完成のまま導入したことであり、FA制度を導入するときに制度そのものの研究や他の面(ドラフトなど)の改善が為されなかったのが一番の問題である。(側室制度を廃止したのに、皇室典範をそのままにしたようなもんである)
怒りの矛先は、「阪神の横暴」に向かうのではなく、「プロ野球機構」に向かうべきではないのか。球場にも行かず、パソコンに向かって「阪神の読売化」なんて書きなぐっているだけでは、新井も去って行くであろう。そして、また「阪神の横暴」の文字が躍るのか。
実は、本当の意味でのフランチャイズ球団を地でいっていたのが広島カープのはずである。
今でこそ、千葉も仙台も札幌も福岡も、地元球団ブームになっているが、本当は広島がその見本であったはずである。
膨大な放映権料もなく、ファンの後押しで強くなってきたパリーグのチームだけでなく、本家本元のフランチャイズ球団の意地を見てみたいものである。
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