あおのり世相をぼやく

　車を修理に出していたこのワタクシは、ディーラーから借りた「代車」で「マイカー」を取りに(ディーラーに)行こうとしていた。

　このワタクシの車に付いている某メーカーの純正ナビは、どの日であっても、最初にエンジンをかけた瞬間に「今日は○月△日、ＸＸの日です」というアナウンスが流れる仕組みになっている。
　もっとも、そんなことをいつもは気にはしていない。
　それより先に、カーステレオが、前回乗ったときに聞いていた音楽の続きを、爆音として流すので、例えば、「今日は３月３日です、ひな祭りです」なんて言われてもほとんど耳には聞こえてこない。
　とはいえ、考えてみれば、ほとんどの時間を、他に人のいない自宅か、他の人の乗ることがほとんどない車の中で過ごしているこのワタクシの場合、人生の会話の大部分が、「ハンバーガーとシェイクのＭ」と自分で言ったり、「お待たせしました、３００円になります」と言うのを聞いたりで、まったくもって業務的なやり取りしかなく、人間同士の心のこもった会話なんて３６５日のうちで１０日もすれば良い方である。
　だから、ある意味、「今日は３月３日です、ひな祭りです」は、「お待たせしました、３００円になります」よりもはるかに心のこもった、しかも毎日のように聞く掛け声だったのかもしれない。

　ＣＤも挿入されていない「代車」のエンジンをかけると、いきなりアナウンスが流れてきた。
　「メリークリスマス！今日は１２月２５日です」
　今年のクリスマスイブとクリスマスの二日間で初めて言ってもらった「メリークリスマス」だった。

　そして、「明けましておめでとうございます」を言ってくれるのも愛しの「マイカー」だけだろう。。。