ブッシュ、演説原稿にふりがな
ブッシュ大統領が国連総会で行った演説の原稿には、国名や人名などを間違わないよう「発音記号」が付けられていたらしい。
記事そのものやネット上のコメントを見る限り、ブッシュの阿呆振りを茶化す感が否めない。
とはいうものの、英語という言語(綴り通りの発音なんて皆無である言語)体系下においては、非英語圏の固有名詞なんて簡単に読めないことは当然だけに、振り仮名をつけてまでちゃんと読もうとしたことは立派である。立派なのはブッシュではなく参謀の方だとは思うが。
一方、その直後、ブッシュは、「子供たち」というところを、「child → children」から更に発展させて「childrens」と発音してしまったらしい。
当然といえば当然ながら、これまたブッシュを茶化す意見が多い。
もちろん、このワタクシもブッシュはアホだとは言いたいが、曲がりなりにも大学の専攻が言語学であったこのワタクシは別の感想も持ってしまった。
昔、カナダでフランス語を勉強しているときに、あまりに難解なので何度も挫折しようになったのだが、当時のフランス語の先生がポツリと、「フランス語って面白くて、自分の3歳の息子ですら、リエゾンを間違ってしまう」と言ったのである。
具体的に書くと、その息子は、「Je t'aime.(私はあなたを愛しています)」が「je(私は)」、「te(あなたを)」、「aime(愛しています)」の三語から成り立っている(「te」と「aime」は、「aime」の最初の音が母音なので合体している)ことを判らないため、「t'aime」が「愛している」と思ってしまったというのである。
だから、「Je l'aime.(私は彼〔女〕を愛しています)」と言わなくてはならないところを、「Je la t'aime.」と言ってしまったりするのだと言うのだ。(「la」は「彼女を」という意味)
そんなアホなと思うのだが、文字を知らない子供である以上、聞いた音から次の文章を頭の中で創作しているわけで、言われてみるとそういうこともありえるような気がするのである。
その後、外国語学習においてプレッシャーが抜けて、「母国語の人だってその程度なんだから、、、」と思いつつ気軽に取り組めるようになった。
そこで「childrens」に戻るが、英語圏において、複数形を作るための法則は例外が多過ぎて勉強させられる我々も大変なのだが、実は英語話者でも大変に違いない。
結局のところ、言語なんてのは、スポーツや楽器や箸の持ち方と一緒で、(母国語であっても)反復練習の回数で上手いか下手かが決まるものである。
だから、基本法則(複数形の場合は、「原形+s」)ほど反復回数が多いので、「child」を「childs」と言ってしまう英語話者はいるだろうし、成長過程ではそんなことは普通に起こっていて、親が矯正したり学校で訂正されたりするはずである。
つまり、日本語で敬語を言い間違えたりすることと同様で、言葉の言い間違いは教養の問題もしくはウッカリ間違いということになる。
ブッシュが「childrens」と言ってしまったのは、余程複数を強調したかったなど、その状況下でのメンタルの問題である可能性の方が高い、、、が、、、
やはり、ブッシュの教養の問題とした方が面白いことも事実である。。。
(関連江エントリー)
「世界のリーダーの知識(あおのり世相をぼやく)」
「名門校を出ても賢いとは限らない(あおのり世相をぼやく)」
「ブッシュ、英女王にウインクして嫌われる(あおのり世相をぼやく)」
(引用)
ブッシュ大統領、国連の演説草稿は「発音記号」付き
2007年 09月 26日 15:07
[ニューヨーク 25日 ロイター] ブッシュ米大統領が25日に行った国連総会での一般演説には、国名や人名などを間違わないよう「発音記号」ガイド付きの草稿が用意されていた。ホワイトハウスのスタッフが用意した草稿が、国連のウェブサイトに一時掲載されて明らかになった。
同草稿には、人名では仏大統領の「サルコジ」、ジンバブエ大統領の「ムガベ」などの発音記号が付いており、国名では「キルギス」や「モーリタニア」、地名ではジンバブエの首都「ハラレ」の正しい読み方が書き込まれていた。
ペリーノ大統領報道官によると、草稿は演説を同時通訳をしなくてはならない国連の通訳者のために事前に届けられたものだという。同報道官は記者団に対し、大事なスピーチを行うときなどは誰でも同様な用意を行うものだと語った。
ただブッシュ大統領は、今月に豪シドニーで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)でのスピーチで、APECを「OPEC(石油輸出国機構の略称)」、またオーストラリア軍を「オーストリア」軍と言い間違う失態を演じていた。
ブッシュ大統領、チルドレンをチルドレンズと言い間違う
2007年 09月 27日 16:41 JST
[ニューヨーク 26日 ロイター] ブッシュ米大統領が26日、当地の小学生を前に「子どもたちは結果が計測されている時には勉強する」などと演説した際、複数の子どもを意味する「チルドレン」を「チルドレンズ」と言い間違えた。
同大統領が文法上の間違いを犯したのはテレビ放映用イベントで、会場にはニューヨークのブルームバーグ市長やスペリングス教育相のほか、教師と小学生20人がいた。
ブッシュ大統領は、このような間違いとは無縁ではなく、25日には国連総会での演説原稿に発音記号が付けられていたことが明らかになったばかり。
(引用終)