出生届の不受理、両親が敗訴
出生届が受理されなかった女児と両親が世田谷区に住民票の作成を求めた訴訟で、東京高裁が原告勝訴の1審判決を取り消し、訴えを退けたとのことである。
話としては、婚姻届を出していない事実婚夫妻が、娘を「嫡出でない子」として届け出ることを拒んだため、区は出生届を不受理とし、戸籍が作成されていないということらしい。結果的に、出生届が不受理であるために住民票は作成されていない。
この種の裁判が時々起こるが、最近までは、子供のことを考えたらそんなことでもめるなよ、と思っていたものである。
しかし、ここにきて非常にこういう話題が増えてきている気がする。それは、時代の流れもあるだろうから良いことなのか悪いことなのかは判らない。
ただ一つ言えるのは、この国は(一応)法治国家ということである。
法に従えないなら、国を去るか、捕まるか、裁判で負けるかしかないはずである。
そういう意味では、裁判で負けるのは仕方のないことだ。
そもそもおかしいのは、そういう法律があることが判っていて、なぜ法に従わない行為を取るのだろうか?
それだけ民法をなめているということなのか?
「そういう状況になってから法律を知りました、、、」とでも言うのか?
スピード違反をしてから「この法定速度はおかしい」とか、人を殺しておいて「法律がおかしいから殺人罪には問えない」と言っているようなもんである。
子供がかわいそうとか言って法律を曲げていたら法治国家でも何でもなくなるのである。
東京高裁の判決は、「民法は法律婚主義を採用しており、、、」となっているが、それ以外何も言うことはないはずである。
とにかく、この両親の「法律に合わないことをやっちゃったので、法律を変えてくれ」という議論のために、我々の血税が裁判で垂れ流されているのは忌忌しき問題ではないのか。
もちろん、時代の流れで「事実婚」が増えてきて、「嫡出でない子」が増えてくるようであれば、法律を変えないといけない時期がくるかもしれない。
そのときに、話を持っていくのは裁判所ではなく、国会であるはずである。
彼らのやるべきことは、立候補するか、民意に訴えて法律を変えてくれるような国会議員を選ぶように他の市民にお願いすることではないのか。
「いやいや、そこまでの事では、、、」なんて言うようであれば、そもそもこの裁判自体が人間の心に付け込んで「子供のことだから大目に見てくれるだろう」を期待した甘えでしかないような気がする。
原告側は、「残念極まりない。嫡出、非嫡出の区別は国連から批判されており、個人的信条の一言で片づけられるものでない」として上告をするらしい。
また血税を使うのか。
というか、国連が批判しようが何しようが、法律を変えないといけないのである。その方法は上告ではないはずである。
あなたたちのやっていることは法律違反である。その法が正しくてもおかしくても。そして、正に単なる個人的信条の一言で片付けられるものである。
追記)
個人的には、この家族をかわいそうだと思うし、今の法律が正しいとは思えない。
だから、彼らがその法律を変えようとするのであれば、その意思を持った議員に投票するのはやぶさかではない。
しかし、法律を変えてくれと裁判でやっていることには賛成しかねる。
こんな裁判が多いから、他の重要な裁判に時間が掛かるのではないのか?(って言うのは言いすぎだが)
(関連エントリー)
「離婚してから300日(あおのり世相をぼやく)」
「結婚前に確認しておくこと(あおのり世相をぼやく)」
「コメントできない(あおのり世相をぼやく)」
「法廷に卑猥な着声鳴り響く(あおのり世相をぼやく)」
(引用)
<無戸籍児訴訟>原告一転敗訴 住民票不作成の世田谷区適法
(毎日新聞 - 11月05日 21:22)
出生届が受理されなかった女児と両親が東京都世田谷区に住民票の作成を求めた訴訟で、東京高裁は5日、原告勝訴の1審判決を取り消し、訴えを退けた。藤村啓裁判長は「出生届を出すと父母や子が重大な不利益を被り、社会通念上、届け出を期待できない場合に限って住民票を作成すべきだ」という判断基準を示し、今回のケースについて「両親の個人的信条で届け出を怠っているだけで、例外的に作成を認める場合に当たらない」と述べた。
訴えていたのは、介護福祉士、菅原和之さん(42)夫妻と娘(2)。婚姻届を出していない事実婚の菅原さん夫妻は、娘を「嫡出でない子」として届け出ることを拒んだため、区は出生届を不受理とし、戸籍が作成されていない。夫妻は、区に住民票作成を求めたが、出生届不受理を理由に受け入れられなかった。
高裁判決は、住民基本台帳法が「出生届受理により住民票を作成する」と定めていることを根拠に、無戸籍の子に裁量で住民票を作成するのは極めて例外的な場合に限られると指摘した。その上で、民法は法律婚主義を採用しており、嫡出子と非嫡出子を分けるのは合理的理由のない差別とはいえないとして、菅原さんのケースは住民票を作成すべき場合には当たらないと結論付けた。
1審・東京地裁は5月、「幼稚園入園の申請など日常生活の不利益は見過ごせず、将来的に選挙人名簿への未登録などの重大な問題が起こる」と区の対応を違法と認め、住民票作成を命じる初判断を示した。しかし高裁は「選挙権の不利益は現実化しておらず、その他の行政サービスは手続きが煩雑としても住民登録者と同様の扱いがされている場合が多い」と述べ、1審とは逆に区の対応を適法と判断した。
会見した菅原さんは「残念極まりない。1回の口頭弁論だけで1審を覆したのも許されない。嫡出、非嫡出の区別は国連から批判されており、個人的信条の一言で片づけられるものでない」と話し、上告する意向を明らかにした。
▽世田谷区の話 判決内容の詳細を見ていないので、コメントは差し控えさせていただきたい。
(引用終)