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ケベックはカナダの中の国家?

 カナダのハーパー首相は、分離独立傾向の強いケベック州について「統一されたカナダの中の国家」と宣言する動議を下院に提出する方針を明らかにしたとのことである。
 首相の意図は、同州の分離独立は認めないとの立場を強調すると同時に、「国家」という言葉を使い、住民感情に一定の配慮を示したものとみられると記事は語ってはいる。

 (このブログにおいても普段の生活においても)あまり物事に白黒を付けて発言することはないのだが、このワタクシとして、数は少ないが熱くなってしまう話題の一つにこのケベック問題がある。何を隠そう大学の卒論のテーマもケベック問題である。
 そして、このワタクシはケベック独立賛成論者である。(その理由を語れば、原稿用紙数千枚に及ぶので割愛。。。)

 まったく背景を知らない人にとっては、「ケベックが独立しても経済的に、、、」とか「フランス語がどうのこうの、、、」と、単なる意味のない発言になってしまうのだが、逆に考えてみると面白い。
 カナダからケベックがなくなるとカナダはどういう国になるのだろうか。
 そもそも(少なくともカナダをよく知らない人から見れば)、トロントなんてデトロイトとどこが違うのか判らないし、カナダ自体もアメリカとどこが違うのかよく判らない。
 ケベックに長く住んでいたこのワタクシからすると、カナダの公用語はフランス語であり、カナダはラテン系の国である。
 そして、カナダからケベックがなくなると、(外から見た)アメリカとカナダは、イギリスとアイルランドのように見えてしまうだろうし、人口の25%がぶっ飛んでしまうカナダの方が、ケベックより経済的に大変であるに違いない。
 カナダで最大の「国」であるケベックが、セントローレンス河を通る船舶や、ケベック領を通過する飛行機に通過料を課せば、カナダ自体が人・物において、簡単には移動できなくなるだろう。
 もちろん、ケベック自体の経済も大変であろうが、民族主義というのは、金では図れない。

 民族問題は、世界のほとんどの国において大問題である。
 人類は、国家権力が弱まった瞬間に国がバラバラになった例(及び同一民族同士で再編した例)を、この15年間で幾つも見てきた。そのほとんどが、開発途上国である。
 今先進国が分裂すれば、今まで以上に開発途上国では民族主義が台頭するであろう。

 このワタクシは、感情的には、ケベック独立大賛成である。
 しかし、カナダでもスペインでも、民族運動が時に国家を揺るがす大問題になるが、国家を治める為政者であれば、社会的、国際的責任において、独立させるわけにはいかない。
 
 
(追記)
 モントリオール・エクスポズが大リーグから姿を消したときに、「フランス語圏では野球は流行らない」という(日本人が)多かったが、そうであれば、なぜ英語圏のアメリカではサッカーやクリケットが流行らないのかという説明はできない。。。
 言語という、文化の表面だけ見ていては、民族は語れない。


(「モントリオール」関連)
 「ぱんちょな恋の物語:あれ以来
 「世界で最も親切な都市
 「大統領が車掌さん!?
 「パリ症候群
 「ラテンな野球
 「刺青サービス
 
(「フランス語」関連)
 「我々の母国語
 「小学校からの英語教育なんて

(「カナダ」関連)
 「カナダでぼやく アーカイブ


(引用)
ケベックは「カナダの中の国家」=独立は認めず-ハーパー首相
(時事通信社 - 11月23日 09:10)
 【ニューヨーク22日時事】カナダのハーパー首相は22日、分離独立傾向の強いケベック州について「統一されたカナダの中の国家」と宣言する動議を下院に提出する方針を明らかにした。同州の分離独立は認めないとの立場を強調すると同時に、「国家」という言葉を使い、住民感情に一定の配慮を示したものとみられる。
[時事通信社]
(引用終)





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コメント (3)

私設秘書:

久しぶりに高尚な文章を拝見しまして感動した!

エースナンバー18:

何を隠そう大学の卒論のテーマもケベック問題である。

>へぇ~、そうなんだぁ~。

ケベックに長く住んでいたこのワタクシからすると、カナダの公用語はフランス語であり、カナダはラテン系の国である。

>これ、ホント??そういえば、マギルで勉強していた知人も同じことを言っていましたよ。(単なる偶然??、それとも必然??)

あおのり:

エースナンバー18さま

>単なる偶然??、それとも必然??

 偶然でも必然でもなく、事実です。

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